みなさんは、カラオケなどで↓のように思ったことはありませんか?
特に、男性は地声が低いことが多いため、お気に入りの曲をカラオケで歌いたくても、キーが高すぎたり、メロディラインに高低差がありすぎて、歌うのをあきらめてしまうなんてこともありますよね。
でも、あきらめるのをちょっと思いとどまって、高音で歌うことができる秘訣を試してみませんか?
高音で歌うコツをつかんで高難易度の曲を歌いこなせれば、歌への自信もつきますし、友だちや彼女にいいところを見せることができますよ。
そこで、この記事では、
についてわかりやすく解説しています。それではさっそく本題に入りましょう。
高音を出すコツについて解説する前に、「高い声は体からどのようにして出されているのか」について見ておきましょう。
まず、高い声が出る仕組みを知ることで、高音を出すコツについても論理的に理解することができます。
そもそも、人間が声を出すとき、体の中ではどんなことが起こっているのでしょうか。
知らない方もいると思うので、少しお付き合いください。
発声は次のような手順で起こっています。
<声を出すまでの体の動き>
ざっくりまとめると、
「吐かれた空気により、閉じられた声帯が震えて音を作り、ノド・口の中などで声として作られる」ということです。
また、「ノド・口の中などで声として作られる」プロセスを一般的に「共鳴」と言ったりします。
声が出る仕組みを踏まえて、人の声の高さはなにで決まっているかと言うと、「声帯の振動数」によって決まります。
男女の声の高さの違いも声帯の振動数の違いからきており、女性は発声する際に1秒間に200~300回声帯が振動しているのに対して、男性は100~150回しか振動していないと言われています。
そのため、一般的に男性は女性よりも声が低くなるわけです。
また、男性女性問わず、高い声を出すときには、声帯が「ピンと張った状態」になります。
これは、輪ゴムを持ってはじくときのことを考えてもらうとわかりやすいかと思います。輪ゴム緩めて持っているときよりも、ピンと張って持ってはじいたときの方が高い音がでますよね。
つまり、高い声を出すには、「声帯をピンと張って振動数を増やす」ことができればいいわけです。
と言われても、どうしていいかわからないですよね。
実は、この「声帯をピンと張って振動数を増やす」ということに、けっこう勘違いがあったりするのでもう少し説明します。
「声帯を自分の意志で動かすことができるのか」について、答えから言うと、動かすことはできません。
少し難しい話になりますが、声帯を動かしている主な筋肉は、不随意筋(ふずいいきん)と言って、自分の意志では動かせない筋肉になります。
例えば、「心臓や腸を止めたり動かしたりしてください」と言われてもできませんよね?それと大まかには同じことです。
にもかからず、ちまたでは、高い声を出すときには「声帯を閉じなさい」とか「声帯をピンと張りなさい」というようなことが、まことしやかに言われていることがあります。
このような声帯コントロールが意識的にできるというようなトレーニングはあまり意味がないだけでなく、力みすぎてノドを傷めてしまう危険性もあるのでやめておいたほうがいいでしょう。
声帯は、あくまで正しい方法で発声した結果、思うような声が出せるように動いてくれるだけで、声帯をコントロールして思うような声を出す、というのは順序が逆になりますので注意してください。
それでは、思うように高音を出すには、やはり正しい方法で地道にトレーニングを積むしかないのでしょうか。
確かに、正しいトレーニングを積むことによって安定的に高音を発声することができるということは間違いないと言えますが、高音を出すためにすぐに実践できるコツもあります。
そのコツは、ここまでの説明で言った通り、声帯をコントロールするようなことではなく、あくまで高音を発声しやすくさせるためのコツになります。
その結果として、声帯は高い声を出すために動いてくれる、ということです。
繰り返しになりますが、声帯を自分の意志で動かすことはできません。
では、高音を出すにあたって、自分でコントロールできることはなんでしょうか。
それは、声帯を振動させる空気の量の調節と、さきほども少し言いましたが、声帯で作られた音が「ノド・口の中などで声として作られる」際、つまり共鳴によって声量を増幅させることです。
声帯を振動させる空気の量を増やせば、声帯の振動数が増えるので、高音を出すことができますが、声帯への負担も大きいので声帯を傷める可能性があります。
ここでいう声帯を振動させる空気の量の調節とは、単に吐く空気量を増やすということではなく、高音を出す際に声帯を傷めない最小限の空気量に調節するという意味です。
少し前置きが長くなりましたが、「声帯を振動させる適切な空気の量の調節」と「共鳴による声量の増幅」と言う点を踏まえて、高音を出すコツについて3つ紹介していきます。
だれもが簡単に高い声を出すことができる方法が、裏声(ファルセット)です。
「そんなの知ってるよ」とか「裏声じゃなく自然に高音を歌いたいんだよ」という声が聞こえてきそうですが、まずは、地声では苦しい高さの部分は、思い切って裏声で歌ってみましょう。
次に意識することは、地声から裏声に切り替わる部分を、自分の判断でいいので、できるだけ自然につなげるようにしてみてください。
何度か練習して地声と裏声の切り替えをある程度自然にできるようになると、カラオケでもあまり違和感なく高音を歌えている感じになります。
それだけでは満足できないという方には、次の段階として、地声と裏声を切り替えていたところで、裏声の部分をなるべく小さな声(話し声程度)で、できるだけ地声に近づけるように歌ってみてください。
やってみるとわかると思うのですが、高音を裏声ではない小さな声で歌うのはけっこう難しいです。
これは、声帯の話に戻すと、いままでは、地声で吐く空気量を多くして強引に声帯を振動させていたところを、適切な空気量で振動させようとして、それに慣れていないからです。
でも、地声で強引に高音を出すのは限界がありますし、声帯を傷める可能性もあるので、まず裏声で歌ってみて、その次の段階として小さな地声での高音にチャレンジしてみてください。
その練習方法としては、自分にとって地声と裏声のちょうど境目の音の高さを繰り返すような曲を小さな声で歌うようにすることです。
この練習によって、ミックスボイス(地声と裏声の中間)習得への一歩を踏み出すことができます。
ミックスボイスなど高音のトレーニング方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
「腹式呼吸で歌う」というのは、ボイトレ関連のサイトや動画などでよく言われていることです。
確かに腹式呼吸で歌うと、ノドに力が入りにくくなり、疲れにくいなどのメリットがありますが、ここでは、高音を出すという点からのメリットについて少しお話しします。
先ほどから、高音を出すためには吐く空気の量が大切という話をしていますが、吐く空気の量の調節を適切・柔軟に行うには腹式呼吸が向いています。
腹式呼吸の反対は胸式呼吸ですが、二つの呼吸の大きな違いは、胸式呼吸は空気を吸う力が強く働き、腹式呼吸は空気を吐く力が強く働くということです。
もう少しわかりやすく言うと、胸式呼吸では吐く空気の量を調節するのが難しいのに対して、腹式呼吸では意識的に吐く空気の量を調節しやすいということになります。
そのため、吐く空気量が肝となる高音の発声には腹式呼吸が適しています。
実際の腹式呼吸のやり方については↓の動画を参考にしてください。
「共鳴による声量の増幅」という点でいうと、体、特にノドや首回りがリラックス状態にあることが、高音の響きを良くしてくれます。
ですので、ここでは、歌う前にノドや首回りがリラックスできるウォーミングアップ方法についてご紹介します。
↑のウォーミングアップを歌う前に2~3セットほど行うことにより、高音の共鳴器官としてのノド・首回りがリラックス状態となります。
また、高音をより響かせやすくするための補足ですが、歌うときの姿勢は、力を入れずに背筋を伸ばして、足を腰の幅に開き、体の重心は少しだけ前にかけましょう。
この姿勢をとることにより、全身が歌うのに適したリラックス状態をとることができます。
それでは、紹介した3つのコツを踏まえて高音の曲を歌ってみましょう。
高音を練習するには、テンポの速くないバラードなどが適しています。
ここでは、練習にもおすすめで、歌いこなし甲斐のある高音男性ボーカルの名曲を3つ紹介します。
高音の部分はうまくつなげれば裏声でも違和感がありません。難易度は低くありませんが、なによりとてもいい曲なのでチャレンジしてみてください。
清水翔太さんによるHYの名曲のカバーです。ウィスパーボイスを多用しているので吐く息のコントロールや裏声の練習にもなります。
Aメロとサビの高低差が激しいです。裏声からチャレンジして是非ミックスボイスをマスターしていってください。
米津玄師さんも制作している流行りのボカロにも高音の練習になる曲がありますので、こちらの記事も参考にしてください。
いかがでしたでしょうか?
今回は、すぐに実践できる高音を歌いこなすコツについてまとめてみました。
この記事で紹介したコツを実践して少し練習すれば、お気に入りの高音の曲も立派に歌いきることができるでしょう。
ただ、やはり究極的には、地声と裏声を織り交ぜたミックスボイスを安定して出すことができれば、声帯への負担も小さくなりますし、高音の曲もより安定的に歌いこなすことができます。
独学でミックスボイスを完全にマスターするのはなかなか難しいです。
ボイトレスクールでは、優れた講師の指導を無料の体験レッスンから始められるところもありますので、是非検討してみてください。